280412弁護士様から ご説明20160408 #izak

280412弁護士様から ご説明20160408 #izak
争点に関係するものであっても、訴訟戦略上証拠として提出しない場合もあります
平成26年(ワ)第24336号 国家賠償請求事件


ご連絡

                        平成28年4月11日
原告 殿 

              〒105-
              東京都港区  ビル3階
                         法律事務所
                    代理人弁護士 綱 
                     同 弁護士 三 
                     同 弁護士 辛 
                 TEL 03-3591-0291 FAX 03-35

1 「6月6日の朝にはN君の母親と会話していない」との主張の訂正
 甲15号証(原告が訴訟前に作成したメモ)の1枚目に記載があるが、これは間違いというのであれば、間違いであることの理由を教えて下さい。合理的な理由付けができましたら、東京都に対する訴訟及びN君の母親に対する訴訟での主張を訂正いたします。
*資料1 甲15号証 1枚目

2 乙11の1乃至2が偽造であることの証拠の内容と原告の主張上の意味について
(1) 証拠の提出について
民事訴訟法規則第九十九条は、「証拠の申出は、証明すべき事実及びこれと証拠との関係を具体的に明示してしなければならない。」と定めています。

①訴訟における立証の際には、争点に関連する部分に絞って証拠を提出すべきであり、争点に無関係な資料を闇雲に提出すると、争点があいまいになり、本来判断されるべき重要な点が判断されない恐れがあります。

また、②争点に関係するものであっても、訴訟戦略上証拠として提出しない場合もあります。
現在争っているのは、乙11の1乃至2号証が偽造であるか否かです。

当職らの基本的な姿勢は、①争点と関連性を有しないもの及び関連性が薄いものは基本的に証拠として提出しない、②訴訟戦略上不利に働く恐れがあるものは提出しない、という立場です。

しかし、訴訟戦略上不利なものであっても、貴殿がそのリスクを充分に把握した上で、どうしても提出したいという強い意思があるのであれば、関連性を有する範囲において、証拠として提出することも検討致します。

(2) 資料選別の経緯
原告が、偽造の主張の裏付けとなる資料として送って下さった資料ですが、内容的に何故偽造だということになるのかの関連性が薄いと見られ、「平成23年に書式が変わったことがそこまで異常なことではないかもしれない」と思わせてしまう可能性のある資料が含まれていたと位置付けています。
被告の矛盾を強く攻撃するのみにとどめた方が、原告に有益だと判断しました。

なお、インターネット上の資料の一部は、当職らがかなり前に調べたときに出てきた資料と同一であり、当時も当職らは攻撃の決め手とも原告の主張の決め手ともならないと判断し、証拠としてのご提案はしていませんでした。

しかし、不利益の可能性を通知した後にも原告より再度提出の要望があり、不利益の可能性を一応ご理解して頂いていること、平成23年の書式変更の根拠そのものというような不利益が明白な資料とまではいえず、事実の解明には資するものであるため、争点と関連性を有する範囲で、一部の資料を甲号証として提出しました。

全ての資料を出さなかったのは、関連性の薄い資料は提出の趣旨を説明できないうえ、関係性の薄い資料を多数出すと原告の主張そのものに理由がないとの印象を与え兼ねず、これを避ける必要があったためです。

本来であれば、本件の証拠の提出については、充分な打ち合わせを行い、貴殿から証拠の位置づけ(関連性)をご説明頂く必要がありますが、打ち合わせが出来ない状況で今日に至っており、また、貴殿から送られてくるメールだけから貴殿の意図している内容を読み取るのは至難の業です。
当職らは教育の現場を知る者ではなく、今回の判断に関して誤りがあれば当然訂正致しますが、まずは、下記の点についてお教え頂きたいと思います。

(3)教えて頂きたいこと
▼以下はアンダーライン
 ア 当職らは平成21年度のN君の指導要録が古い書式のものをそのまま使っている可能性が高いと見ているのですが、これが誤りでしたら教えて下さい。中でも、「道徳等についての先行実施を反映した書式変更がある」旨原告からのメールに書かれており、乙11の1のどこが変更されているのか具体的に教えて下さい。
▼以上アンダーライン

  平成28年4月11日0:41の原告のメールに対しては、平成21年度に書式が変更されたことを前提としているため、指導要録の移行時期という意味では、平成21年度に一度移行した書式を用いているというご理解が当職らと異なるところと理解しました。当職らが当初頂いた資料の多くが不利益と考えた思考過程は、「平成23年度に指導要録の移行措置として、平成24年度の全面実施に先立って書式変更が行われた可能性が示唆されるものは不利益」というものです。

確かに、平成21年度に書式が変更されていれば平成23年度にも変更して2度も移行措置を採ることは不自然ですから、原告が違和感をもってご指摘されたものと見ています。

当職らが平成21年度平成22年度の指導要録が、古い書式をそのまま使っている可能性が高いと考えている理由は次の①②です。
① 平成21年度平成22年度のN君の指導要録は、乙24の1の変更「従前の『領域・教科を合わせた指導』を『各教科等を合わせた指導』とした」「『知的障害者を教育する特別支援学校』を『知的障害特別支援学校』と表記する」を2つとも反映していません。

② 甲17号証で提出した平成21年12月のワーキンググループの発言でも、「現行でも、移行期間は前の現行指導要録をそのまま踏襲するということになっております。」との発言があります。被告は「平成21年度平成22年度では暫定版の新様式を使った」と主張していますが、原告側としては、平成21年度に書式が変更されたことも疑って良いと考えています。

しかし、平成21年度に書式変更があると確実に言えるのであればこの見解は訂正します。
 
▼以下はアンダーライン
イ 「幼児・児童・生徒指導要録電子化の基準」について、メールで「紙媒体による保存は行わない」との内容があることがキーセンテンスになるというのはどういう趣旨ですか。この資料の内容は電子化(平成24年度と見られる)後の話だと理解していますので、N君の資料が偽造であるとの主張との関連には論理展開が必要です。また紙で保存されているか否かが現段階では問題になっていないと見ていますが、どのように平成23年度の書式変更が不自然であることとつながるのでしょうか。
ウ 平成23年度に墨田で新指導要領を完全に実施していた場合には、平成23年度にN君の指導要録の書式が変更される可能性があるのでしょうか。
   そうだとすると、平成23年度に指導要領を完全実施をしていないと言える証拠が原告で入手できるでしょうか。
▼以上アンダーライン

(4) 争点の確認
   当職らは、乙11の1乃至2に記載されたN君の一人通学についての記載が偽造によるもので信用できないことを主張するに当たり、「平成23年度にN君の指導要録の書式が変更されたことに合理的な理由があるか。」が争点と考えています。

   以前証拠提出しないことのご連絡で、「平成22年5月の通知が被告から出たら、平成23年度の書式変更の合理的理由が示されてしまう可能性が高い」という内容を連絡し、原告がこれに強い違和感を覚えられていることと受け止めています。

   平成23年度に書式が変更されるためには、その直前の時期に書式変更の通知が為されていた可能性が高いでしょうから、平成22年5月に書式が示され、これに沿って平成23年に変更されるというのは時期的な整合性があります。

なお、平成22年5月の通知はインターネットで入手できましたので添付いたします。参考書式は乙11の2と黄色マーカー部が異なりますが、【別紙2】と合わせて読むと整合性があり、枠組み等の変更には一致が見られます。

 *資料2 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1292898.htm
  【別紙2】中学校及び特別支援学校中学部の指導要録に記載する事項等
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/attach/1292902.htm
指導要録(参考書式)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/attach/1293813.htm

(5) 偽造の主張の訴訟上の方針のご提案
  ところで、偽造の主張についての方針ですが、当職らは被告自身の破綻を強く攻撃することが最善と考えています。
原告から偽造を立証することはハードルが高いので、被告の主張と被告自身が提出している証拠が全く一致していないことを強調することが効果的という考えです。

  原告から立証をするなら、一発で被告の主張が崩れるような関連性の強い証拠の提出に止めることが効果的です。
漫然と関連性の薄い資料を原告側から提出すると、原告の主張が理由の無いものという印象を与えてしまう危険があります。

   なお、現在は①乙24の1及び乙24の2から見ても、平成23年度にN君の書式が変更された理由がわからないこと、②学籍の記録が2枚あることはおかしいこと、③乙24の1は正式な効力のある書類ではないと見られることの3点を準備書面(8)で強調して主張しています。ご確認下さい。
   ただし、平成22年5月の書類(*資料2)が平成23年度に変更したことの根拠となるか否かについて、「なりうる」という結論でしたら、平成23年度にN君の指導要録の書式が変更されたことに合理的な理由があることになり、偽造の主張は実質的に維持できないと見るべきです。

原告の目から見て、「ならない」という結論でしたら、なお偽造の主張を維持して行く方針です。

(6)乙24の2の原本確認
  乙24の2は、インターネットや図書館で閲覧できる資料でないため、被告に期日での原本確認を求める方針です。ご自身で確認されたい場合は、期日にご出席下さい。

3 当職らからの色々なご提案や、訴訟上の主張の機微について、本当は打合せを行いながら進めることが最も原告の利益に資すると考えていますが、メールと手紙のやりとりだけではほとんどそのようなことが実現できません。

当職らは、原告から重複や誤解のあるメールの内容が大量に送られてくるため、その処理に時間を要しております。
原告の要望は最大限反映しておりますが、不明な点誤解に基づく点等は留保にせざるを得ません。
本書のような手紙は送付に時間がかかりますし、趣旨がずれていたとき無駄が多いです。
打合せでお伝え頂ければその場で互いに趣旨もわかりますし、誤解はご説明でき、より柔軟な対応が可能となると考えています。
  当職らは、原告に不利益の可能性があると考えたことは、その不利益を正確にご理解頂かない限り積極的に行うことはできません。

  弁論打ち切りについてご心配されていますが、まだ尋問期日も決まって居らず、準備書面(8)の内容で訂正したい点等があれば訂正することは可能です。(弁論の終結は尋問よりも後です。)

  4月20日ころ、打合せを予定しますので、適宜ご連絡頂き訂正等があれば協議しましょう。
以上