テキスト版 判例 昭和28年(行)第91号 裁判官不訴追決定取消し請求事件 #新藤義孝議員

テキスト版 判例 昭和28年(行)第91号 裁判官不訴追決定取消し請求事件 新井判決 裁判官訴追委員会 #新藤義孝議員

 

Ⓢ 手書き版 判例 昭和28年(行)第91号 東京地裁不訴追決定取消し請求事件 

https://ameblo.jp/bml4557/entry-12800302890.html

 

Ⓢ SK 関根小郷判決書 不訴追は裁量権 裁判官訴追委員会 関根小郷最高裁判事 裁判官不訴追決定取消請求事件 

https://ameblo.jp/bml4557/entry-12798798266.html

 

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33丁 

昭和28年(行)第91号

 

判決

 

東京都豊島区千川町2丁目○番地

原告 入野〇次郎

右訴訟代理人弁護士 髙橋正義

          浦田関太郎

 

千代田区永田町2-14番地

被告 裁判官訴追委員会

右代表者委員長 牧野寛索

右訴訟代理人弁護士 森虎男

 

右当事者間の昭和28年(行)第91号裁判官不訴追決定取り消し事件について、次のとおり判決する。

 

33丁裏

主文

原告の訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実

原告は、「原告が訴追の請求をした裁判官長尾信、有路不二男、田中正一について、被告裁判官訴追委員会が昭和28年11月6日付でした訴追しない旨の決定は、これを取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、請求の原因として、次のとおり述べた。

 

原告は昭和27年12月6日付で被告裁判官訴追委員会に対し長尾信、有路不二男、田中正一の3裁判官について罷免の訴追をすべきことを請求した。

 

これに対し、被告は昭和28年11月6日( 34丁表 )付で訴追しない旨の決定をし、原告は翌7日その決定書の送達を受けた。

 

しかし、この不訴追の決定は次の理由によって違法である。

昭和27年12月から昭和」28年4月国会解散まで存在していた被告の委員長高橋英吉以下の全訴追委員は、本訴追の請求があったことを知らされず、従って訴追を請求した事件について何ら調査、審議をしていない。

 

また昭和28年5月27日就任した現委員長牧野寛索以下の全訴追委員も、少なくとも同年9月8日までは、本訴追の請求があったことを知らされなかったばかりでなく、訴追請求者及び前記3裁判官の陳述をきかず、そのた事件につき何らの調査をしていない。

 

そして最近に至ってにわかに不訴追の決定をした。

裁判官を訴追すべきか否かは、全訴追委員の良知良能に基づいて決す( 34丁裏 )べきものであり、各訴追委員は独立して職権を行うべきものであるから、前記の経過をたどってなされた右不訴追の決定は違法である。

よって本件不訴追の決定の取消を求める。

以上のとおり述べた。

 

被告は、「原告の訴えを却下する。」との判決を求め、その理由として次のとおり述べた。

裁判官訴追委員会のやったことの適否は、裁判官弾劾制度の特質( 憲法が、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するために特に、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設けた趣旨 )からいって、司法裁判所の判断を受くべきものではない。

 

仮にそうでないとしても、訴追の請求は訴追委員会の職権発動を促す行為に過ぎないから、訴追委員会のする不訴追決定の通知は、抗告訴訟の対象たる行政処分にはあたらない。

以上のとおり述べた。

 

理由

わが憲法は、立法、司法、行政の三権を原則として分立させ、例外としてその間の抑制をはかっている。

憲法76条1項が「 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所の属する。 」としたのは三権分立の原則の現われであり、憲法64条が「 国会は、罷免訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。弾劾に関する事項は、法律で定める。 」としたのは抑制の精神の現われである。

 

裁判官に罷免の事由があるか否かを決定するのは判断作用であり、本質的には司法権の作用に属する。

これについて憲法64条は前期( 35丁裏 )のとおり規定した。

弾劾裁判について司法裁判所が関与できないことは同条1項によって明らかである。

 

同条2項は「弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。」と規定し、これに基づいて成立した裁判官弾劾法は、裁判官の訴追及び裁判の手続きを定めている。

 

その訴追の手続きに関して司法裁判所が関与できる趣旨の規定はどこにもみえない。 (=>三権分立の趣旨から関与できる。)

 

憲法裁判官弾劾法、裁判所法等を綜合的にみると、裁判官の弾劾に関しては、その訴追の段階で行った処分の適否についても、司法裁判所は裁判権を与えられていないとするのが相当である

これ右抑制の制度の正しい理解であると信じる

 

裁判官弾劾法15条1項の趣旨、従って不訴追決定通知の性質についても疑問はあるが、この点の判断をするまでもなく、本訴は司法裁判所の裁判権服しない事項について出訴したという点におい( 36丁表 )て不適法であるから、訴訟費用の負担について行政事件訴訟特例法1条 民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

 

東京地方裁判所民事第2部

裁判長裁判官 新村義○

   裁判官 入○○

   裁判官 桜木重信 

=>判読不明な署名は、イカサマ判決の証拠だ

 

( 36丁裏 )

事由

原告に昭和29年2月26日

被告に昭和29年2月24日 正本送達

 

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