ベタ打ち版 KY 290622村田渉判決書 控訴審 葛岡裕訴訟 要録偽造 #村田渉中央大学教授

ベタ打ち版 KY 290622村田渉判決書 控訴審 葛岡裕訴訟 要録偽造 #村田渉中央大学教授 被控訴人 小池百合子都知事

村田渉の判断 乙11号証関連の判示<4p><8p>

 

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平成29年6月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成29年(ネ)第306号 国家賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成26年(ワ)第24336号)

口頭弁論終結日 平成29年4月13日

 

判決

 

埼玉県越谷市大間野町○丁目○番○号

控訴人 上原マリウス

東京都新宿区西新宿二丁目8番1号

被控訴人 東京都

同代表者知事 小池百合子

同指定代理人 石澤泰彦

同 荒井幹人

同 原暁

 

主文

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

 

事実及び理由

第1 請求

1 原判決を取り消す。

2 被控訴人は,控訴人に対し,200万円を支払え。

 

第2 事案の概要

1 本件は,被控訴人が設置管理する東京都立葛飾特別支援学校(以下「本件学校」という。)に教諭として勤務していた控訴人が,担任をしていた本件学校の生徒(以下「N君」という。)の指導に関連して,本件学校の管理職員が,①N君の一人通学指導について控訴人の負担を考慮した体制整備を怠ったこと,②N君の母親(以下「N母」という。)から控訴人の指導に関し

 

<2P>

て多数の要求がされたのに対して控訴人の職場環境への配慮を怠ったことにより,抑うつ状態となり通常の業務に戻ることができないまま定年退職に至ったと主張して,国家賠償法1条1項又は債務不履行安全配慮義務違反)に基づき,控訴人に生じた精神的苦痛に対する慰謝料200万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成26年10月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

原判決は控訴人の請求を棄却し,控訴人がこれを不服として控訴した。

2 本件の争いのない事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,後記3のとおり当審における控訴人の主張の要旨を付加するほか,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1及び2に記載のとおりであるので,これを引用する。なお,略称は原判決の例により,特に年の記載のない月日は平成24年の月日である。

3 当審における控訴人の主張の要旨

(1) 一人通学指導について

ア N母は,一人通学指導の希望につき,千葉教諭等から左右の安全確認ができるようになったら検討する旨を聞き,納得していたにもかかわらず,一人通学指導マニュアル(甲1)の記載を曲解して校長室に怒鳴り込み,控訴人の指導力不足を口実として控訴人の行為について訴え,一人通学指導計画(乙7)の一人通学指導を要求した。

葛岡校長は,一人通学指導マニュアルを読まないまま,本件中学部における一人通学指導についてのN母の話を真に受けて,6月14日頃にはN母に空手形を発行し,一人通学指導の開始を確約した。

一人通学指導マニュアルにおいては「べた付き指導」は想定外である。

また,N君には急に走り出すなど,状況判断ができない問題があり,校外で,教員が離れて指導が行える生徒ではなかった。

イ 本件学校では教員の指導時間が上限に達しており,N母の要求する計

 

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画(乙7)は,教員の体制の観点から,労働基準法や法定された教職員の定員に違反する。登校時の指導は職員朝会への出席義務と矛盾し,下校時の指導は休息時間と矛盾する。

ウ 本件の事実経過の確定には葛岡校長の手帳及び6月6日付のN母の手紙の証拠提出が必要不可欠であるのに,被控訴人はその提出を拒否し,原判決は上記手紙の内容につき違法に事実認定している。

エ 控訴人は,6月15日に,葛岡校長から,一人通学指導計画の作成につき職務命令を受けた。一方,控訴人は甲16を作成しており,職務命令違反はない。甲16が未完成であるのは,本件中学部からの資料を要望し,その到着を待っていたからである。

乙7は,同月14日に,控訴人のパソコンの個人フォルダに無断で入れられたものである。控訴人が,事故の責任に関する念書を求めたのは同月末頃である。

 

オ 本件中学部における一人通学指導計画の存在及び実績は根拠がない。

被控訴人提出の書証( 乙4,11の1,2,12の1ないし3 )は,N君に関するものであるかを確認できない上,乙11,12は,その書式等に照らして偽造されたものである。また,本件学校におけるN君の一人通学指導の結果についても,証拠が提出されていない。

(2) 職場環境の保護について

甲28は,モンスターペアレントであるN母の不当な要求内容にほかならず,控訴人の指導力不足については何らの根拠もない。指導と称して繰り返された授業観察や研修報告書の強制は,実質的には一人通学指導についての控訴人の洗脳又は退職への誘導を目的とするパワハラである。

 

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,後記2のとおり補正し,後記3のとおり当審における控訴人の主張に対する判

 

<4P>

断を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるので,これを引用する。

2 原判決の補正

(1) 原判決16頁5行目冒頭に「(1)」を加える。

(2) 原判決17頁6行目末尾に改行の上,以下を加える。

「 なお,控訴人は,被控訴人提出の書証( 乙4,11の1,2,12の1ないし3 )につき,N君に関する書証か否かにつき確認できない旨を主張するが,被控訴人において,別の生徒に関する書証をあえて提出するとは到底考え難い上,上記各書証の記載事項(通学経路,担任教師名等)は,N君に関する事実と符合するものであり,控訴人の主張は失当である。

 

(2) 控訴人は,被控訴人がN母の6月6日付手紙を書証として提出していない点を論難するが,原審において陳述された控訴人準備書面(6)(平成27年10月6日付)18頁には,控訴人が保有する上記手紙の写しに基づいて,前記1(9)の認定事実と同旨の記載があり,控訴人において,上記手紙の存在と内容を自認しているところであり,控訴人の主張は失当である。

(3) 控訴人は,事実経過の確定のため必須の資料である葛岡校長の手帳が提出されていない旨を主張するが,当該手帳ないしスケジュール帳自体が現存するとも,控訴人主張のような網羅的な内容を含むものとも認め難く(原審における証人葛岡裕9頁,10頁),控訴人の主張は失当である。」

(3) 原判決17頁11行目末尾に改行の上,以下を加える。

「 しかしながら,そもそも,前記1(3)及び(4)のとおり,障害児教育においては,自主通学はよりよい社会参加を目指すためにクリアすべき必須の課題であり,本件学校においても一人通学指導が指導の重点事項とされてい

 

<5P>

たものである。そして,前記1(10)及び(11)の各事実によれば,葛岡校長は,一人通学指導の必要性や本件中学部における指導状況に関するN母の指摘に加え,千葉教諭及び控訴人の意見聴取の結果を踏まえ,千葉教諭の理解を得た上で,N君についての一人通学指導が必要である旨判断し,計画の立案を命じたものと認められる。

そして,前記のような一人通学指導の重要性に照らせば,上記計画の立案に当たっては,N君の障害の特性や程度に応じた指導内容を最優先に検討すべきことは明らかであり,計画の実施に伴う個々の教職員の事務の負担は,上記の検討後に,事務全体の合理化や調整と併せて検討課題となり得るに過ぎない。したがって,本件管理職らにおいて,一人通学指導計画の立案ないし保護者(N母)に対する告知に先立ち,個々の教職員(控訴人)の事務分担を定める義務を負うものとは解し難い。控訴人の主張は,本件学校に対し,自らの事務負担の軽減を所与の前提とした一人通学指導計画の立案を求めるに等しく,失当なものというほかない。」

(4) 原判決17頁12行目「しかしながら,」を「また」と改める。

(5) 原判決20頁22行目「そして,」から21頁2行目「いうことができる。」までを以下のとおり改める。

「そして,控訴人は,N母に対し,6月6日に,一人通学指導に消極的な理由について「指導の体制ができていない」,「個人的に行うとしても2,3週間」と述べたものである。このような対応は,本来的な職務である一人通学指導について,教職員の負担を理由として消極的な姿勢を示し,これを個人的なボランティアであるかのごとく表現したものである。このような控訴人の対応は,前記(1)で述べたところに照らし,本件学校の教育方針にも沿わない不合理なものというほかなく,N母においてこれを理不尽な対応と感じ,控訴人の指導力や専門性(一人通学指導の重要性に対する理解等)に不信感を抱くことにも十分に合理的な理由

 

<6P>

があるものというべきである。以上述べたところに照らせば,葛岡校長において,N母の不信感に対応するための措置を執る必要があったものと認められる。」

(6) 原判決22頁22行目「前記(1)」を「前記(1)及び(2)」と改める。

3 当審における控訴人の主張についての判断

(1) 一人通学指導について

ア(ア) 控訴人は,N母が,千葉教諭等から左右の安全確認ができるようになったら検討する旨を聞き,納得していたにもかかわらず葛岡校長に直訴した旨や,また,葛岡校長が,一人通学指導マニュアルを読まないまま,本件中学部における一人通学指導についてのN母の話を真に受けて,6月14日頃にはN母に空手形を発行し,一人通学指導の開始を確約した旨を主張する。

しかしながら,N母が6月7日に葛岡校長と面談したのは,同月6日に控訴人が前記2(5)のとおり,教職員の負担を理由として一人通学指導に消極的な態度を示した直後である。このような控訴人の対応は,N君の安全確認の問題を指摘する従前の千葉教諭の説明と齟齬し,N母にとっては,安全確認の問題が改善しても,教職員の負担を理由として一人通学指導への消極的な対応が継続する可能性を認識させるものであって,N母において葛岡校長との直接の面談を求めたことには合理的な理由がある。

また,認定事実(原判決6頁21行目から7頁13行目,10頁6行目から11頁1行目)に照らせば,本件中学部における一人通学指導の状況についてのN母の申告は,真摯かつ切実なものであり,かつ,客観的に見ても,本件中学部における一人通学指導の状況とも合致するものであって,葛岡校長において,一人通学指導の開始の可否の判断に当たり,N母の申告を信用したことにつき不合理な点はない。

 

<7P>

控訴人の主張は理由がない。

(イ) 控訴人は,一人通学指導マニュアルにおいては 「べた付き指導」は想定外であり,N君の問題(状況判断)に照らして,校外で,教員が離れて指導が行える生徒ではなかった旨を主張する。

しかしながら,控訴人の主張する「べた付き指導」の意味自体が不明確である上,一人通学指導マニュアル(甲1)に記載された指導事例(5頁以降)に照らせば,本件学校において,担任教員が一定の範囲で生徒に付き添い移動することは想定されていたものと認められる。また,N君の状況判断に問題があったとしても,この点は程度問題であり,本件中学部における指導の状況や,千葉教諭が一人通学指導の開始に同意したことに照らして,指導開始の支障となるものとは認め難い。

以上によれば,一人通学指導の開始に係る葛岡校長の判断は合理的なものであり,控訴人の前記主張は理由がない。

イ 控訴人は,本件学校では教員の指導時間が上限に達していたことを前提として,教員の体制の観点から,労働基準法や法定された教職員の定員に違反する旨や,職員朝会の出席義務や休息時間との矛盾につき主張するが,前記2(3)のとおり失当である。

ウ 葛岡校長の手帳及び6月6日付のN母の手紙の証拠提出に関する控訴人の主張は,前記2(2)のとおり理由がない。

エ 控訴人は,6月15日に,葛岡校長から,一人通学指導計画の作成につき職務命令を受けた後,甲16を作成しており職務命令違反はない旨を主張するが,原判決(11頁2行目から3行目)の判示するとおり,一人通学指導計画の作成は中村主幹教諭に対し指示され,同月14日頃には計画が作成されたものであるから,そもそも同月15日に控訴人主張の職務命令がされたものとは認め難い。控訴人の主張は前提を欠き失

 

<8P>

当である。

オ 控訴人は,本件中学部における一人通学指導計画の存在及び実績は根拠がなく,被控訴人提出の書証(乙4,11の1,2,12の1ないし3)につき,N君に関するものであるかを確認できず,その書式等に照らして偽造されたものである旨を主張するが,原判決(16頁5行目から17頁6行目)の判示及び前記2(2)で述べたところに照らして採用できない。

 

なお,控訴人の主張するとおり,東京都の学習指導要録の電子化が平成24年度から実施されたものであり,にもかかわらず乙11の2(平成23年度分)の様式が,平成24年度から使用すべき様式で作成されているとしても,その作成時期が平成24年3月であること,従前の様式とは表現ぶりやレイアウトが異なるに過ぎないことに照らすと,乙11の1及び2が偽造されたものと認めることはできない。

 

また,控訴人は,本件学校におけるN君の一人通学指導の結果について証拠が提出されていない旨を主張するが,この点に関する葛岡校長及び中村主幹教諭の原審における供述(原審における証人葛岡裕13頁,14頁,証人中村良一14頁)の信用性を否定すべき事情は窺われない。また,前記アで述べたところに照らせば,一人通学指導の開始に係る葛岡校長の判断は,実際に行われた指導の結果にかかわらず合理的なものと認められる。控訴人の主張は採用できない。

(2) 職場環境の保護について

控訴人は,①甲28は,モンスターペアレントであるN母の不当な要求内容にほかならず,控訴人の指導力不足については何らの根拠もない旨,②指導と称して繰り返された授業観察や研修報告書の強制は,実質的には一人通学指導についての控訴人の洗脳又は退職への誘導を目的とするパワハラである旨を主張する。

 

<9P>

しかしながら,原判決(12頁7行目から23頁15行目)の判示及び前記2(5)で述べたところに照らせば,控訴人に対する授業観察や教材研究命令等には合理的な理由があったものと認められ,控訴人の主張は前提を欠く。

 

第4 結論

以上によれば,控訴人の請求は理由がなく,これを棄却した原判決は相当であるから,主文のとおり判決する。

東京高等裁判所第24民事部

裁判長裁判官 村田渉

裁判官 一木文智

裁判官 前澤達朗

 

<10P>

これは正本である。

平成29年6月22日

東京高等裁判所第24民事部

裁判所書記官 渋谷辰二

 

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以上