270713 被告側第2準備書面 正本(複写日は不明) #izak ベタ打ち版

270713 被告側第2準備書面 正本(複写日は不明) #izak ベタ打ち版
乙11号証(中学部指導要録)を基礎資料にして作られたお話、お話。
要録偽造 281216鈴木雅久判決書は、恫喝判決書である


閲覧等制限対象文書
第5回 口頭弁論・陳述(訂正あり)

平成26年(ワ)第24336号 国家賠償請求事件
原告 #izak
被告 東京都

第2準備書面

平成27年7月13日

東京地方裁判所民事第25部乙2A係 御中

被告指定代理人 石澤 泰彦

同 成相 博子

(目次)
第1 原告準備書面(2)に対する反論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1 一人通学指導について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1)一人通学指導に対する原告の認識について・・・・・・・・・・・・2
(2)一人通学指導における保護者との協力・連携の欠如・・・・・・・・5
(3)原告は母親の自主練習にクレームを付けた・・・・・・・・・・・・6
(4)原告はN君の一人通学指導計画を作成しようとしていない・・・・・8
(5)原告は母親に対し一人通学指導をしない旨伝えた・・・・・・・・・9
2 N君の自立・自主性を阻害する指導 ・・・・・・・・・・・・・・・・10
3 管理職による原告の指導について ・・・・・・・・・・・・・・・・・12
第2 求釈明に対する回答 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
1 墨田特別支援学校中学部での一人通学指導について ・・・・・・・・・14
2 管理職による授業観察について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
3 原告準備書面(2)第4について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
第3 求釈明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

第1 原告準備書面(2)に対する反論
(以下、単に頁を挙げる場合は、原告準備書面(2)の該当頁を指す。)
1 一人通学指導について
(1)一人通学指導に対する原告の認識について
ア 本件学校は、学校教育法に基づき設置された教育機関である。その目的は、知的障害者に対して高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることにある(学校教育法72条)。したがって、障害により困難があるとしても、各生徒の障害特性に応じた目標を設定し、一歩一歩、時間をかけてそれに向けた指導を行うことが求められる。一人通学指導においても、このことがまず前提とされなければならない。
すなわち、完全な一人通学の達成が容易でないとして、保護者の求めを拒否し指導しないという姿勢をとるとすれば、それは職責に反するものというべきである。
イ 原告は、「一人通学とは、障害の内容により安全確認ができない★・・・・・・・・・★等の場合に達成が困難な課題であり、就労施設へ入所するために無理をして行う★・・・・・・・★ことに疑問なしとはできない現状がある」(12頁16行)と述べるが、そもそも一人通学指導に対する考え方が決定的に間違っているというほかはない。
既に述べたように、一人で徒歩や公共交通機関を使って通学することは、様々な力をつけ経験の幅を広げる大きな学習場面となるほか、生徒が保護者から心理的に独立し目的を持って行動する大きな機会となる。さらに、一人通学ができることは卒業後の進路を考える上で選択範囲が広がることにつながる。したがって、一人通学は「自立と社会参加」を目指す上での大きな力となり、その力が本人の「生きる力」へとつながっていくのであって、その指導の意味は決して小さくはない(甲1−1頁、3頁。被告第1準備書面5頁)。
本件学校の教育計画において、生活指導の重点として、「一人通学を推進するために『一人通学計画書』を作成し、家庭と連携して生徒の実態に応じた通学指導を行う。また計画書の作成、活用に当たっては『一人通学指導マニュアル』を参考にして、意図的・継続的に指導を進める」こととしている。なお、この方針は、普通学級のみならず、重度・重複学級においても同様である(乙1−14頁、16頁)。
また、本件学校において保護者に配布される「一人通学指導マニュアル」においても、一人通学指導を積極的に推進することが記載されている(甲1−1頁、3頁)。
ウ ところで、本件学校の生徒の障害の度合いをみると、平成24年度当時の1年生55名のうち、愛の手帳2度(重度)の生徒が12名(21.8%)、3度(中度)の生徒が9名(16.4%)、4度(軽度)の生徒が30名(54.6%)とその過半数が軽度の生徒である(乙1−4頁)。
一方、N君が卒業した墨田特別支援学校中学部の平成23年度の在籍生徒60名についてみると、愛の手帳2度(重度)の生徒が40名(66.7%)、3度(中度)の生徒が12名(20.0%)、4度(軽度)の生徒が6名(10.0%)となっており、軽度の生徒は1割程度である(乙10)。
本件学校の平成24年度の1年生の出身学校をみると、知的障害特別支援学校中学部の卒業生が17名(30.9%)、一般の中学校の特別支援学級の卒業生が31名(56.4%)、一般の中学校の通常学級の卒業生が5名(9.1%)となっている(乙1−4頁)。
このように、本件学校のような特別支援学校の高等部では、高等学校の授業のレベルに付いて行くことが難しい中学校の特別支援学級及び通常学級からの卒業生も加わるため、重度の障害者の比率が低下する。したがって、入学当初から一人通学が可能な状態の生徒も多数入学する。しかしながら、知的障害特別支援学校中学部からの卒業生には愛の手帳2度、3度の生徒が多く、こうした生徒には付添い通学から始まる「一人通学指導」は必須なものであることに何ら変わりはない。
こうした愛の手帳2度、3度の生徒は本件学校の平成24年度1学年の7つの普通学級にも、各クラス2名ないし3名が在籍し(24年度の1年A組にも、2度の生徒が1名(N君)、3度の生徒が1名の計2名が在籍した。被告第1準備書面3頁)、登下校指導は各クラスの担任の担当とされていた(乙1−19頁「日常生活の指導」の項目の「学習の編成」欄の「学級」との記述。)。
エ 原告は、本件学校において、「付添い通学(指導)を行う例は極めて例外的であ(る)」(12頁下から2行)、あるいは「N君と同等の障害を持つ生徒に対し一人通学指導をする姿勢を従来有していたとの趣旨であれば事実ではない」(13頁4行)と述べる。
しかし、実情は上記のとおりである。原告の上記主張には、比較的障害が軽く学習指導がしやすい生徒を中心に据え、知的障害特別支援学校中学部や中学校の特別支援学級を卒業した重度・中度の障害がある生徒の存在を軽んずる意識が表れているというべきである。
オ また、原告は「実際に行われている一人通学指導は、各学期当初に★・・・・・・★、教員が(分担表に基づき:代理人注記)一週間指定場所に立ち、登下校の指導を行うに留まる」(12頁20行、2頁3行)と述べる。
しかし、長期の休業が終り新学期が始まる際に、一定期間、教員が危険箇所等の指定場所に立って児童生徒全員の通学状況を確認するのは、いわゆる学校全体としての「安全指導」中の「登下校指導」として行われるものであって(甲1−2頁「1 登下校指導」。乙1−19頁「生活単元学習」の項目の「主な内容」欄の「セーフティー教室等の安全指導」参照。)、本件で問題とされている個別的指導としての「一人通学指導」(甲1−3頁)ではない。原告の上記主張は、一人通学指導の理解に殊更混乱をもたらすものというほかはない。
また、上記登下校指導が「一人通学指導」そのものだと原告が認識していたとすれば、まさに、原告が特別支援学級の教員としての資質・専門性を欠如したことの証左というべきである。
カ なお、原告は、一人通学指導のみならず、部活動の指導などの勤務時間を超える職務について極力回避しようとした。
一人通学指導は、上記のように担任の職務であり、保護者としては、一人通学指導の実施を担任に期待するのは当然であって、それに対し、時間外の勤務はボランティアであり責任を負いかねる旨述べて(19頁22行、20頁14行)、保護者の期待に応えようとしない原告の態度に保護者が失望するのもまた当然である。
(2)一人通学指導における保護者との協力・連携の欠如
原告は、「校外での付添通学を始めるのは、生徒が道順を覚えたかどうかの確認のための指導である。校外での指導開始の前提には、安全意識を獲得しているという前提があり★・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★、これを獲得していない生徒に対しては、校内での指導を重ね、全般的な能力の向上を図り、安全意識を獲得後に校外での指導を行う★・・・・・・・・・・・・・・・・・・★ことが一般的である」(13頁17行以下)と述べ、安全意識を獲得していないとするN君の一人通学指導を行わないことがあたかも正当であるかのように述べる一方で、保護者が自主的に行う一人通学の練習は自由に行われるべきである(16頁14行)とも述べるが、これも根本的に誤っているというほかはない。障害児の教育は、教師のみによって行われるものではなく、保護者との協力・連携によって行われるものである。しかしながら、保護者は障害児そのものの理解や障害児教育に対する理解について各人の開きが大きく、当然に不十分な点がある。したがって、特別支援学級の教員には、特別支援教育の専門的な立場から保護者を支援することもまた求められているというべきである(乙1−12頁(Ⅳ−1(2)・「普通学級」⑦及び「重度・重複学級」⑦)、14頁(②の8番目の「・」)、16頁(②の7番目の「・」))。
原告の上記主張には、こうした教師と保護者の協力・連携の視点が決定的に欠如しているのである。安全意識を獲得していなければ校外での指導は行わないが、保護者の自主練習は自由だという。これでは、保護者は勝手にやれ(それについては何ら支援もしないし、責任も負わない。)と言っているのに等しく、原告には特別支援学校教師としての自覚と責任感が全く欠如しているとしか言いようがない(なお、16頁15行参照)。
(3)原告は母親の自主練習にクレームを付けた
ア 原告は保護者が自主的に練習するのは自由だと考えていて、N君の母親の自主的な一人通学練習を快諾した(15頁10行)、保護者が行った自主練習を止めるよう求めたことはない(17頁1行)と主張する。
では、なぜ、母親が一人歩きの練習に入りたいと連絡帳に記載した翌日の連絡帳に「一人歩きの練習ですが、ヘルパーさんとかが後追いしていただけるのでしょうか。現在、下校後は担任が後追いできる状態ではありません。また、現状では、教員が2〜3週間(原文のまま)、追って離れることはふあんです」(甲3の1、5月15日)と記入したのか。
原告は、母親が自主的な一人通学練習をすると連絡帳に記載したこと(甲3の1、5月14日)に際し、母親に「生徒引き渡し後に保護者が行うのは自由です」と述べたとするが(15頁19行)、母親とのやり取りが準備書面に記載されたとおりであるとすれば、その言葉の裏側には、「何か事故を起こして自分たちに迷惑をかけてくれるな」、「学校に迷惑をかけないならば自由に行えばいい」という意図が込められていることは明白である。
なお、5月14日の母親とのやり取りに関して、原告は中村真理主幹教諭から「何で一人通学を許可したの。事故が起きたとき、誰が責任を取るのか」と詰問された旨述べる。中村主幹教諭が仮にこのようなことを述べたとすれば、その言わんとするところは、一人通学練習を保護者の全くの自主性に任せるのは適切ではなく、担任による計画的な指導の下に行われるべきである(原告が適切に指導すべきである)というものである。原告は、保護者は学校には迷惑をかけないと言っている(万が一事故があっても、教員・学校が責任を問われることはないことの言質を取った。)、引き渡し後は保護者の自由だと答えたとしているが、中村主幹教諭の発言の趣旨を履き違えている。
イ さらに、なぜ、N君の母親が、自主練習を本格的に開始した直後(6月15日)、校長に原告を★・・・★N君の担任から外すよう談判を求めたのか(甲2の1参照)。
それは、登校時にN君が自動車と衝突しそうになったとの連絡帳の記述(甲3の2、6月14日)を見て、原告が母親にクレームを付けたからであることは疑いようがない。6月15日の母親の行動は、前日の出来事について、原告が母親を非難したことに端を発していることは明白である。
原告は、6月14日の登校時の出来事について、「N君の安全に不安を覚えたことは確かであるものの、一人通学練習を否定する発言をしたことはなく、千葉教諭に対応を任せていた★・・・・・・・・・・・・・★」(16頁23行)、「被告第1準備書面4(4)・・同ウに記載されたやりとりは、原告でなく千葉教諭が中心に行い★・・・・・・・・・・★、原告から自主練習を止めるよう求めたことは一切ない」(17頁2行)と述べる。
しかしながら、それ以前の6月7日に、母親が校長に自主練習を始めることを伝えた後、千葉教諭は、母親に「朝、お忙しい中、お話ありがとうございました。学校からも、出来るところで**君の一人通学のバックアップを考えていきたいと思います。何かありましたら、またご連絡下さい。本当に慎重すぎて申し訳ありません。」と自主練習に協力する姿勢を伝えている(甲3の2、6月8日)。原告の言うように、6月14日に千葉教諭が★・・・・・★自主練習の中止を求めたのであれば、なぜ、母親は千葉教諭でなく原告を★・・・・・・・・・・★担当から外すよう求めたのか。全く不可解としか言いようがない。
(4)原告はN君の一人通学指導計画を作成しようとしていない
ア 原告は、N君の一人通学指導計画書を提出していないことは認めながら、N君には「飛び出し傾向」があり、一人通学を行っていたという墨田特別支援学校中学部でそれについてどのように対処していたのか疑問であったところ、その資料を入手できなかったことから当該計画書が作成できなかった旨述べる(4頁2行)。
しかしながら、指導計画の作成を指示された時点で、原告がN君には安全意識が獲得できていないという認識でいたのであれば、そのことを前提に指導計画を作成すればいいのであって、本件学校入学以前の事実が確認できないから指導計画が作成できない(したがって、作成を拒否していない。)などという原告の言い訳は単なる屁理屈でしかない。
原告の「(一人通学は)達成が困難な課題であり、・・無理して行う★・・・・・・★ことに疑問なしとはできない」(12頁16行)との記述は、まさに、原告が一人通学指導計画の作成に取り組まなかった★・・・・・・・・★そもそもの心境を吐露しているものである。
イ なお、原告は、5月10日の家庭訪問で母親から一人通学についての希望が述べられたが、N君が出身校(墨田特別支援学校中学部)で一人通学をしていたことの話は出なかった(3頁9行)とか、6月7日頃、校長から一人通学指導計画の作成を指示された際に、出身校で一人通学をしていたことを初めて告げられた(14頁5行)と述べる。
しかしながら、自分が担任である生徒の保護者から一人通学指導を実施して欲しい旨要望が出された時点で、当然、生徒の担任としてこれまでの指導経過を聞き取る必要があった。
また、N君の出身校である墨田特別支援学校中学部の指導要録には一人通学を実施していた状況が記載されている(乙11の1、2)。児童生徒が進学した場合に、出身校の校長は指導要録の抄本又は写しを作成し、これを進学先の校長に送付しなければならないものとされており(学校教育法施行規則24条2項)、N君についても墨田特別支援学校中学部から指導要録の写しが送付されていた。原告は、それを見ることで、N君が出身校で一人通学を行っていたことは容易に知ることができたのであって、6月に至って、校長から伝えられて初めて知ったのであれば、担任としての職務怠慢というほかない。
ウ 原告に代わって一人通学指導計画(乙7)を作成したのは、久保田孝司主任教諭でなく、中村真理主幹教諭である。中村主幹教諭は、「学部主幹」として当時の1学年を担当していて、当時の学年主任の飯田主任教諭と相談して一人通学指導計画書(乙7)を作成した。
よって、被告第1準備書面11頁5行目及び6行目の「生活指導主任」は「学部主幹」と訂正する。
(5)原告は母親に対し一人通学指導をしない旨伝えた
原告は、一人通学指導をしない旨N君の母親に伝えたことはない(19頁4行)、「一人通学指導をする場合には勤務時間外になると母親とのやりとりがあったに過ぎない」(19頁22行)と主張する。しかし、「一人通学指導をする場合には勤務時間外となる」というだけでは、会話として完結していない。
原告は、その時(6月20日)の母親とのやり取りについて、「原告が『後は、管理職が体制表を作ってくれるかです。勤務時間外になるし、勤務時間外の事故があった場合の責任を明確にしないといけません。』旨伝えた。翌朝(6月21日:代理人注記)教室の外の廊下でN君の母親は、原告に対しボランティアや勤務時間について質問をしてきた。」と述べている(20頁13行)。
このやりとりから、原告は、(鄯)一人通学指導は勤務時間外に行われること、(鄱)勤務時間外であれば、ボランティアとして行われること、(鄴)勤務時間外であれば、事故があった場合に教員の個人責任となる懸念があること、(鄽)その場合の責任の所在について(管理職が)明確にする必要があること、(酈)原告のみで実施するのは不可能で、複数の教員の分担で行わなければならないこと、(酛)職員の分担を管理職が体制表を作り決める必要があることを述べていたことは明らかである。
これを聞いた母親が、原告が一人通学指導を行うとの趣旨で述べている、と受け止めなかったとしても当然である。すなわち、仮に、原告が「一人通学のお手伝いをすることになりそうです」(20頁11行)と述べたとしても、それは皮相的な言葉であって、実際には、障害が多いことを理由に指導できないことを伝えたのである。

2 N君の自立・自主性を阻害する指導
(1)生徒の自立・自主性を伸長させるためには、日常的な生活行動について、生徒自身が自ら遂行するのを粘り強く見守ることが必要である。援助が必要な場合であっても、直接手を貸すのではなく、適切な言葉かけによって、次に何をすべきかを理解させて自ら行うように促すべきである。
原告は、N君の日常生活指導において、適切な言葉かけを省いて、直接手を出してしまうことが度々あった。このことは、本件学校の管理職や教員が目撃したほか、N君の毎日の登下校に付き添った母親が目撃した。
(2)原告が連絡帳から抜粋したところには以下の記載がある(甲3の1、2)。
① 5月2日(水) 朝の貴重品提出の時、本人が定期券を出しているのでしょうか・家でバッグから定期入れ本体を取り外せる様になりましたので、取りはずして提出させるよう、声かけをお願いします。
② 6月6日(水) 着替えや朝の仕事(出欠簿又は保健カードの提出、掃除のための机椅子の移動:代理人注記)など見守っていただけると助かります。(うるさい様ですが)
③ 6月19日(火) けさから私の方で**の朝の指導(連絡帳提出、定期券の取り外し、帳簿の運搬の指導:代理人注記)をします。
(3)本件学校の生徒は、朝(8:35)登校すると、自分のクラスに行き、バッグにコードで取り付けられた定期券をバッグから外し、連絡帳やGPS携帯とともに提出し、更衣室で体操着(ジャージ)に着替えたのち、机・椅子を移動させて教室の清掃を行う。また下校の前に、ジャージから標準服に着替え、連絡帳、GPS携帯や定期券等を受け取り、定期券をバッグに取り付け、連絡帳をバッグに入れる。(「日常生活指導」の時間(乙1−21頁)、被告第1準備書面4頁)。
(4)原告の「日常生活指導」における指導
ア 母親は登下校の付添で本件学校に来た際に、1年A組の教室の周辺で「日常生活指導」を見学することがあり、その際に、千葉教諭や原告がN君の指導をしている状況を見ていた。そこでN君が何ができていないのかを確認し、それを家庭で練習させ、徐々に一人でできる様にさせていた。N君は当初、定期券のバッグからの取り外し・取付けができず、教員が手伝っていたが、家庭で訓練して着脱がなんとかできるようになってきたので、4月下旬にその旨伝えていた。上記(2)①の記載は、原告が依然として定期券の取り外しを手伝っていたので、N君に自分でやらせるよう求めたものである。
なお、このころ、母親は原告に、図書の閲読を薦めている(被告第1準備書面9頁)。
イ 6月5日からの週は授業参観週間で(乙2)、母親は朝から授業の様子を見学していたが、原告のN君に対する指導には自主性を阻害するものが見受けられた。そこで、(一人通学指導の自主練習と)N君に対する指導について相談したい旨を連絡帳に記載した(甲3の2、0605(火))。翌6月6日も母親は授業参観をし、前日の相談で申し入れた着替えや朝の仕事(出席簿運び、教室清掃)について〓見守っていただけると助かります(うるさい様ですが)」と記載したものである(上記(2)②)。
なお、6月5日の相談では、一人通学指導についての要望が述べられ、その後母親は校長に一人通学指導の要望を伝えた。校長はこのころ、原告に対し、一人通学指導の計画を作成するよう指示している(被告第1準備書面10〜11頁)。
ウ 6月14日の登校時にN君が自動車と衝突しそうになったことが母親から報告されたが、それに対する原告の対応に憤慨した母親が校長に原告をN君の担任から外すよう申入れをした。その翌週、朝の指導時点から、母親は原告の指導を拒否し、母親がN君の朝の準備の指導をする旨伝えた(上記(2)③)。
原告は、「①連絡帳の提出について、原告が朝教室に行くと既に出されている状態であった。N君の母親が行っていたと見られる」(10頁)と述べるが、これは6月19日以降のことがらである。
(5)教室移動の際に、原告がN君と手をつないでいるのは現認されている。
なお、一人通学への一過程として、校内の教室間の移動等において、自ら目的地(教室等)に移動できるかどうかなどの日常の行動も重要である旨指摘されている(甲1−4頁)。

3 管理職による原告の指導について
(1)授業観察について
原告のN君に対する問題のある指導は、特別支援学校以外の学校の通常の授業における指導のように時間中継続して生じるものではなく、場面場面で突発的・間欠的に生じるものである。したがって、短時間あるいは一時的な授業観察で把握することは困難であり、一定期間継続して授業観察を行う必要があったものである。
また、N君の母親が教育委員会に行く旨述べたことがあったが、授業観察の目的は、飽くまでも母親から申し出があった原告の指導の状況の確認であったことは自明のことである(乙9−6丁)。
(2)課題の作成について
ア 母親との信頼回復について
学校教育は、単に児童生徒と教師との関係でのみ成立するのではなく、保護者の教師・学校に対する信頼の上に初めて成り立つものである。教師は、児童生徒に対してのみ向き合うのではなく、保護者の意見や要望についても十分耳を傾ける必要がある。
原告は、N君の母親との一人通学指導のやり取りの経過の中で、本来生徒に関する指導や身体・健康その他教育指導上の情報伝達に用いるべき連絡帳に、母親の意向に反して、一人通学に関する母親の質問に対する原告の個人的な回答を記入し、母親の心情を踏みにじったものである(甲3の2、0621(木)「ご質問にお答えします。・・私は組合員ではありません」。)。これによって、母親の原告に対する不信感はもはや決定的となった(甲2の3)。しかし、原告には、母親の信頼関係が破たんしたことの原因についての自覚がなく、単なるクレームとしか受け止められなかった。
イ 課題作成について
母親との信頼関係の破たんが何に由来するのか、その気付きと信頼回復のための専門性の向上が原告に対する指導(平成24年の7月から8月にかけて行われた課題作成指導をいう。以下「本件課題作成指導」という。)の目標であることは誰の目にも明白である。しかしながら、「原告はそのような文言を口頭で聞いたことが全く無く、甲5の1の書式では課題の内容が不明瞭であることに乗じ、訴訟段階において事実を捻じ曲げて主張するものである」とか「それ以外の生徒の教材は原告が行うと分担していたため、2学期の実際に使う教材作成を課題の内容と捉え作成した」と述べるのは、現時点においても、母親との信頼関係の破たんの原因に対する認識が欠如しているものとしか言いようがない。
また、原告はN君の担任であり、教科指導以外の「日常生活指導」は当然その職務であるところ(乙1−19頁)、本件課題作成指導における課題を学習3班の指導についての課題としか捉えられなかったというのは、原告の特別支援学校教師としての資質、専門性が決定的に欠如していたことの証左でしかない。

第2 求釈明に対する回答
1 墨田特別支援学校中学部での一人通学指導について
(1)N君は平成21年4月東京都立墨田特別支援学校中学部に入学した(1年A組)。クラスは自閉症児を中心とした学級であり、担任は遠藤隼教諭と堀切美和教諭であった。N君は指示が全く分からないことはなく、「理解している名称の対象物を取る」というような指示を口頭でした場合には、指示された行動を取ることができた。
(2)通学経路
ア 登校時
学校は墨田区八広5丁目にあり、最寄駅は京成押上線八広駅である。N君の自宅の最寄駅である京成本線京成小岩駅(自宅から徒歩)からは、京成上野・押上方面上り電車に乗車し、2つ目の青砥駅で下車。反対側ホームから押上方面各駅停車に乗車し、3つ目の八広駅で下車する(別紙1)。
自宅→京成小岩→(京成本線)→青砥→(押上線)→八広→学校
イ 下校時
下校時は登校時の逆順である。
学校→八広→(押上線)→青砥→(京成本線)→京成小岩→自宅
(下校時の学校から青砥駅までの経路 別紙2)
校門を出て右に曲がり、そのまま道路右側の歩道を進み(約50m)、その先の曳舟川通りとの交差点の角を右に曲がる。曳舟川通り右側の歩道を、八広公園を右に見ながら直進し(約350m)、ゆりのき橋通りとの交差点にある歩道橋を曳舟川通りに沿う形で渡り、渡り終えるとすぐ進行方向右手の八広駅方面に伸びる道に入り直進(約200m)すると八広駅入り口に達する。八広駅入り口が見えるとすぐ近くにエスカレーターがあり、エスカレーターを上ると改札口があり、更に階段を上るとホームに達する。
京成高砂方面のホームで乗車し(すべて各駅停車)、3つ目の青砥駅で乗り換えのため下車し、同じホームの反対側から京成船橋方面の各駅停車に乗車する。
(3)一人通学練習の経緯
ア 保護者の要望があり、N君は中学部1年の3学期から、学校から八広駅までの一人下校に取り組み始めた(乙4)。安全面(信号を見る、左右の確認をする)は本人も気持ちを向けて行った(乙11の1、乙12の1)。
イ 2年時には、一人通学に向けての取組が本格化し、担任と保護者が途中まで後追いし、徐々に距離を伸ばすことを試み、1学期末には、学校から八広駅間の一人下校が完成した(乙4)。2学期からは更に八広駅からの一人乗車に取り組み、3学期末には、学校から青砥駅まで毎日一人で帰ることができるようになった。途中、八広公園で砂で遊んでしまうことがあった(乙11の1、乙12の2)。
ウ 3年時においても、一人通学に向けた取組は継続して行われた。学校から青砥駅まで、徒歩と電車を利用して安定して毎日一人で帰ることができるようになった。途中、八広公園で砂で遊んでしまうことがほとんどなくなった(乙11の2、乙12の3)。なお、3年時においては、2年時の一人通学指導計画を引き続き行っていたため、新たに計画書を作成することはしなかった。

2 管理職による授業観察について
(1)校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する(学校教育法37条4項。82条により特別支援学校に準用。)。
「所属職員」には教諭が含まれる。「監督」の態様としては、監視(状態の把握)、許可、承認(休暇の承認等)、職務命令(校務分掌命令など)、取消し、停止、権限争議の決定等がある(乙13)。
(2)教育委員会は、法令又は条例に違反しない限度において、その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとされる(地方教育行政の組織及び運営に関する法律33条1項)。
東京都においては、東京都立学校の管理運営に関する規則(昭和35年東京都教育委員会規則8号 乙14)7条1項(38条1項により特別支援学校に準用。)により、学校教育法37条4項に規定する校長の職務について、所属職員の職務上及び身分上の監督に関することが含まれるものとされている。
(3)本件学校の校長は、上記のとおり、その所属職員の職務上及び身分上の監督権限を有する。本件学校の校長(及びその命を受けた副校長等)の行う授業観察は、職員の勤務状況を観察し、その勤務実態を把握するものであり、学校教育法37条4項における所属職員の「監督」の一態様(監視(状態の把握))として、行われるものである。

3 原告準備書面(2)第4について
(1)本件学校における過去5年間の一人通学指導例(指導体制分担表を含む)
(回答)
スクールバス乗車生徒は必ず作成するため、複数例ある。本件の参考例として、乙15のとおりである。
(2)家庭訪問の時に渡したN君の年間指導計画(千葉教諭及び原告が作成)
(回答)
N君の家庭訪問時に作成されていた年間指導計画は乙16又は乙17の1である。
なお、いずれにも、一人通学指導に関する記載はない。
(3)N君の中学3年時の担任の氏名及び所在
(回答)
遠藤隼教諭(中学2年時と同一)
現所属は、東京都立鹿本学園(江戸川区本一色二丁目24番11号)
遠藤教諭は、平成24年4月に、墨田特別支援学校中学部から旧江戸川特別支援学校(現鹿本学園)に異動となった(原告準備書面(2)18頁19行参照)。
(4)中学3年時の一人通学の実施内容
(回答)
上記1(3)ウで述べたとおり、中学2年時の指導計画を継続して実施した。
(5)N君の卒業後の進路、卒業時の愛の手帳の認定内容
(回答)
NPO法人あおぞら会 就労支援センターファンタジアに入所した(ただし、その後退所し、現在は次の入所先を探している。)。
愛の手帳2度

第3 求釈明
1 原告は、N君には「飛び出し行為があり安全意識を獲得していない」(原告準備書面(2)4頁5行)〓あり安全確認ができていない」(同15頁7行)と述べるが、〓は、具体的に、どの場所・場面での、どのような行為を指すの〓たい。
2 原告は、平成2〓に対して校外での一人通学指導を行っていないが、上記の飛び出し〓によって「安全意識を獲得していない」(同4頁5行)と評価できる〓、及び「安全確認ができていない」(同15頁7行)と評価できる〓それぞれ明らかにされたい。
3 原告は、N君の通学に係る指導について、校内という場面設定で行うこととしたとするが(同13頁14行)、それはどのような内容のものであるのか明らかにされたい。
4 原告は、「本件学校に5年間勤めるうち、2名の指導例を見てきた★・・・・★」、「その内1名については・・と苦情を言われていた★・・・・・・・・・★」と述べるが(同12頁12行、15行)、
(1)その2名とは、原告が担任であった生徒であるか
(2)その2名の通学指導を原告が行ったものであるか
(3)原告は、本件学校に勤務する以前に、一人通学指導を行ったことがあるか。それはいつのことか。どのような内容であったか。


270713 被告側第2準備書面 正本(複写日は不明) #izak ベタ打ち版
乙11号証(中学部指導要録)を基礎資料にして作られたお話、お話。
要録偽造 281216鈴木雅久判決書は、恫喝判決書である